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連載26 ビートの分割、移行の論理性。


【座付き作家からの質問】

 ビートとは、演劇界(演出界?)で古くから使われている脚本分解のテクニックです。

 ビートという用語について説明して下さい。


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【小松愛の回答】


 ビートとは、シーンを構成するひとつひとつの要素のことです。ビートが積み重なることで、ひとつの場面が完成します。音楽で言えば、シーンをAメロ、Bメロとするなら、ビートは1小節ってところでしょうか。


 ビートの変わり目をどこにするかを厳密に考えるには、テクニックが必要ですが、話題や行動が変わるところくらいの感覚で私は考えています。難しく考えずにシーンをビートに分けることでドラマの流れをしっかり把握できれば良いと思います。

 
 その場面で何が起こっているのか、どんな変化(移行)が起きているかを客観的に把握するために、分割したビートにサブタイトルをつけてみるのも有効です。役者と演出家の間でイメージのズレも少なくすることができます。


 ちなみに脚本家はシナリオ執筆の準備段階で箱書きという構成表を作るそうです。シーンをビートに割るのは「シナリオを箱書きに戻す作業」といえるのかもしれません。基本的にはシナリオの段階で移行の整合性は保たれているはずですが、ビートに分割したことで理解できないことや、移行の整合性が取れていないことがわかることもあります。そういう時こそ、そのシーンをどうするのか演出家とよく話し合い、場合によっては演出家が書き直しを要請する場合もあるかもしれません。

 
 ビートの分割はあくまでシーンを理解するために行う作業です。役者がそのまま演技プランに反映させる必要はありません。ビートを意識しすぎると、全体の流れがなくなり、ぶつ切れな演技になってしまいがちです。シナリオをビートに分解しても、最後にはまたシナリオに戻して演技では移行を表現することに注意する必要があります。


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【座付き作家からのコメント】

 脚本をビートに割る作業は本質的に演出家の裁量ですが、そうであったとしても、役者さんがビートを意識することは実務的に有効だと私は考えています。
 小松Pには、“ビートをこなせる役者”に成長してもらいたいです。