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連載20 キャラクターを囲む物質的な要素―――フィジカルライフ。


【座付き作家からの質問】


 フィジカルライフという用語について説明してください。


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【小松愛の回答】

 
 直訳すると「物質的な人生」になるでしょうか、スポーツジムで肉体を鍛えるという意味でも使われることがあるようです。


 シナリオ解析では「その人の部屋を見れば、その人がわかる」というように、小道具や衣装、それらをどう扱うか、キャラクターにとっての対象物全般をフィジカルライフと言います。


 上着ひとつとっても、キャラクターによって違いますし、上着の着方でも表現が変わります。理想現実では、フィジカルライフは小道具や衣装の使い方、生かし方として捕らえています。

 キャラクターによって、衣装や小道具の使い方を変えるというのは、役者が普段やっていることでもありますが、脚本に書かれている小道具や衣装を書き出し、その使い方をひとつずつ検討していきます。

 
 基本的にフィジカルライフは演出家主導で決めることですが、役者も積極的に考えることで小道具の持つ意味をしっかり把握することができます。ストーリーの中で、小道具がキーワードや伏線として使われることがありますから、それを理解した上で、演技プランを考えられるように、気をつけたいです。


 また、楽器など扱いが難しいフィジカルライフが登場する場合、前もって練習するとか、代役を立てるなど、役者と演出家で、よく相談しておく必要があります。


 脚本に指定がない場合は、こういう小道具を使いたいとか、こんな衣装はどうか、と積極的に提案するのは、役者にとって特に楽しい作業ではないかなと思います。


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【座付き作家からのコメント】

 脚本からフィジカルライフを想像する作業は、役者や演出家にとって楽しいイベントだと思います。脚本家にとっては、それが喜びになったりジレンマになったりもしますが、まぁ、その件は置いておきましょう。

 『内面を探ることがキャラクター創りの本筋』と解するメソッドも多いですが、フィジカルライフから役作りするのもなかなか面白いです。(マニアの方は『アメリカ対イギリス』『リーvsステラ論争』を想起されるでしょうが、もう少し広い意味で捉えて頂けたら幸いです)

 フィジカルライフを“遊べる”女優に、小松Pにはなってもらいたいです。