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連載15 押させておきたいセントラルクエスチョン



【座付き作家からの質問】


 セントラルクエスチョンについて、詳しく説明してください。


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【小松愛の回答】

 観客の興味を物語へ引きつけるために、冒頭で提示される謎のことをセントラルクエスチョンと言います。

 恋愛物なら、二人の恋は成就するのか?といった謎がアクト1で提示されます。アクト2では、セントラルクエスチョンに対する回答が良い結果なのか、悪い結果なのかの揺らぎがあり、どうなるのかハラハラさせられるのが、セオリーです。最終的にアクト3で、成就する!とか、しない!とか、答えが示されます。セントラルクエスチョンはアクト2での揺らぎを出すための前提とも言えます。

 
 セントラルクエスチョンを何にするかで、物語の描き方や演出の仕方もだいぶ変わってきます。たとえば、シンデレラのセントラルクエスチョンを「王子と結婚する」に設定すると、クライマックスを誘発する出来事にあたるプロットポイント兇蓮◆峅子が靴を拾う」になります。


 セントラルクエスチョンを「12時までに帰ってくる」と解釈すると、プロットポイント兇蓮◆孱隠音の鐘の音が鳴る」になり、王子との結婚までの残りの部分は少し長めのレゾリューションになるわけですそれぞれ、クライマックスをドラマチックに見せるために、前半の演出も変わってきます。


 セントラルクエスチョンは絶対に入れなくてはいけないわけではありませんが、これが提示されないと、「結局、私は何を見ればいいの?」と疑問が沸いてきます。私にとって、その代表が浦島太郎です。亀を助けて竜宮城へ連れて行かれ、帰ってきたらものすごい時間が経っていた、さらに玉手箱を開けたらお爺さんになっちゃったって・・・。


 人助けしても礼を受けるべからずとか、お姫様の嫉妬とか、解釈することもできなくありませんが、なんだかスッキリしません。決して浦島太郎が嫌いなわけではありませんが・・・浦島太郎って何が言いたいの?と、ずっと疑問でした。

 セントラルクエスチョンはYESかNOで答えられるのが一般的なのですが、この浦島太郎に無理矢理当てはめるとすれば、竜宮城はどんな所か?とか、浦島太郎の運命は?になりますかね。でも、結局、セントラルクエスチョンが明確にない物語だから、私からすると「何を見ればいいのか分からない物語」なんだと思います。

 
 物語に興味を持たせるための工夫、セントラルクエスチョンはその中心になるものなので、これがしっかりしてないと、やっぱりシナリオとしては、退屈になってしまうと思います。


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【座付き作家からのコメント】

 
 “とっつきやすさ”で言えば、セントラルクエスチョンが明確な方が確かに親切だと思います。多くのハリウッド映画が物語の冒頭(=第一幕)にセントラルクエスチョンを配置しているのも、『ある程度のわかりやすさ』を担保するための工夫でしょうから。
 
 そういえば小松Pも、理想現実の創作現場では常に『わかりやすさ』を重視していますよね。セントラルクエスチョンという概念は覚えておいて損はないです。