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連載11 テーマを探す時のヒント。(主人公から何を学べるのか?)



【座付き作家からの質問】


  テーマという言葉は、かなり幅広く使われています。「テーマ=メッセージ」と解する場合もあれば、時にはモチーフのことを、時にはコンセプトのことを、時にはログラインのことを、テーマという言い方で表現する場合もあります。ややこしいです。

 そこで、今回俎上にあげる『テーマ』については、『作品のメッセージ性』という意味に限定した上で話を進めましょう。

 さて、物語のテーマを探す時にはいくつかのコツがあるそうです。そのうちのひとつを是非教えてください。

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【小松愛の回答】

 作品のメッセージ性とは、要は物語を見て学べること、感じ取れることという意味です。もっと細かく言うと、物語は原則的に主人公を中心に話が進みます。そこで観客に提示されるのは、主人公の生き様ですから、主人公の言動、行動や選択、決断から何を感じ、学べるかが、テーマということです。もちろん、作り手のメッセージを必ずしも観客が同じように受け取るとは限りませんが。

 
 
 主人公が直接的にテーマを担う場合と、間接的に担う場合があるので、何をメッセージしている作品なのかを探し出すのが難しい場合もあります。
 
 
例えば、世界平和のために尽力する主人公であれば、平和の大切さを訴えることがテーマになりえます。

 それから、戦争によって不幸な境遇に陥る主人公を描くことで、間接的に平和の大切さを訴える作品もあります。

 主人公の主張とテーマが一致している作品は、お子様向けとか、分かり易過ぎるなんて言われることもありますが、私は直接的な作品のほうが好みです。


 ただ、結局のところ、主人公の言動というのは、他のキャラクターの言動も絡んでくるので、主人公だけに注目するというよりは、サブキャラクターの言動も併せてみていくことになります。

 傘地蔵を例に考えると、キャラクターの言動は、

 おじいさんの言動・・・お地蔵さんに売り物の傘や、自分の手ぬぐいをかぶせてあげる。

 おばあさんの言動・・・おじいさんの行動をほめる。

 お地蔵さんの言動・・・年越しに必要な品々を置いていく。


 キャラクターの言動から、思いやりの大切さがテーマだと考えたとします。


 さらに、売り物の傘をお地蔵さんにあげて、おばあさんが怒ってしまったら、とか、お地蔵様が傘はいらないと返しにきたら・・・と、逆のことを考えてみます。そうすると、自分が良いと思ったことと、相手が喜ぶことは異なる、なんてテーマが考えられますから、言動を逆に考えてみるのも、テーマ探しのコツです。

 

 それから、おじいさんとおばあさんが、無事にお正月を迎えられるのか、というのが、話の中心になるわけですが、おじいさんがお地蔵さんに傘をあげたおかげで、無事にお正月を迎えられることになったので、主人公の言動が、話の展開にどう左右したのか、というのも、考えるときののコツじゃないかと思います。


 ・・・と、頭では分かっていてもテーマを言葉にして説明するのは、やっぱり難しく、私はいつも苦戦しています。感受性の豊かな人なら、考えなくても様々なテーマに気づけるかもしれませんが、私の場合は、読んでも分からないことが多いので、とにかく分解して1つずつ探していくしかないと思っています。



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【座付き作家からのコメント】


 なるほど、テーマ探しのコツは『主人公の言動(台詞や行動)の裏側に見えるものを探す』ということですね。

 ただし、それはあくまでコツのひとつであって、他にも多種多様なアプローチがありうるでしょう。今後、さらなる勉強を積み重ね、様々な“テーマ探し法”を模索してみてください。