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連載8 既存の解析メソッドについて。(ウェストン、カタン、シガー、フィールド)


【座付き作家からの質問】



 シナリオ解析といえば、カタン著『ストーリーアナリスト』や、ウェストン著『演技のインターレッスン』などの書籍を思い浮かべる方も多いと思います。

 また、リンダ・シガーやシド・フィールドらの提唱するライティングメソッドも、シナリオ解析を進める上で大いなるヒントになるでしょう。

 そのような既存のテクニックと、これから小松愛が語ろうとしている解析術とでは、どのような違いがあるのでしょうか?
 
 


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【小松愛の回答】
 

 ストーリーアナリストが行うシナリオ解析は、ヒットするかヒットしないかを見極めるもので、誰がやっても、ある程度同じ結論になるというものです。ハリウッドは分業制だったため、シナリオ理論というものが生まれたそうですが、邦画界は我流の徒弟制度を取っていたため全体としてのメソッドがなかったようです。
 
 
 リンダ・シガーやシド・フィールドらのライティングメソッドは、自分が書いたシナリオをリライトするため、レベルアップさせるための自己チェックみたいな要素が多いと思います。
 

 ウェストンのシナリオ解析は演出家が演出プランを考えるためのものです。情報を整理し、現場をどう回していくかということまで含めて、アイディアを出しやすくしていく作業です。
 
 
 それぞれシナリオ解析という言葉を使いますし、取り入れている部分もありますが、私が勉強しているのは、役者が演出家とコンセンサスを築くためのものです。

 キャラクターの解釈やシーンの方向性が演出家の解釈とズレていると、作品としての統一感が損なわれたり、トラブルになったりする可能性があります。事前に情報を整理し、現場でしっかり演出家と話し合える状態になっておくために行います。

 演出家やシナリオライターが行う難解な解析に比べると、極々シンプルなものだと思いますし、演出家とのコミュニケーションツールのヒトツ、共通言語を築くための作業とも言えると思います。

 
 今はまだ、座付き作家の猪本から教わるばかりですが、最終的には自分なりのシナリオ解析術を確立する予定です。


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【座付き作家からのコメント】

 
 脚本家のため、監督(演出家)のため、プロデューサー(制作会社)のための脚本分析法は数あれど、小松愛はあくまで俳優のための──、すなわち『創作の現場で俳優が迷子にならないための』シナリオ解析術を模索中ということですね。

 
 諸先輩方の卓越したメソッドを参考にしつつも、単にそれらを金科玉条とするのではなく、自分なりのアイデアも加味しながら、誰よりもシナリオを読み込める女優を目指して下さい。目指せ、守破離!