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連載7  演出家による脚本解析と役者による脚本解析の違い


【座付き作家からの質問】


 シナリオ解析と聞くと、演出家やストーリーアナリストの職域という印象があります。
 役者は、演出家の解析したデータを受け取り、それを具現化すれば良いという主張もありうるでしょう。

 しかし、小松愛は「役者もシナリオ解析に挑むべきだ」と考えている……。そう考える理由を教えて下さい。



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【小松愛の回答】


 演出家と対等に話ができる状態になっておくためです。

 
 確かに基本的には解析は演出家がしてくるものですが、演出家から作品解釈の説明を受けて、問題がなければOKというのと、脚本を読み込んで自分自身の解釈をまとめてから、説明を受けるのでは理解度も変わってきます。

 
 自分の作品解釈を出した上で、演出家の作品解釈とズレていないか確認したり、ズレを埋めたり、疑問点を率直に話し合っておいた方が、後のトラブルも防げます。演出家と解釈をしっかり合わせておけば、何を表現するかということで悩む必要はなくなります。あとは、どう表現するかを考えたり、相談したりすればいいわけです。


 役者は、作品と自分の役について、自分の役と他の役の関係性について考えてくれば良いわけですが、演出家は、全部の役の解析、稽古場をどう回していくかや、役者以外の分野での演出効果についても考えなければいけません(・・・本当に大変ですね。)


 極端な例ですが、演出家は「友情」をテーマに全体のプランを考えて作っていたのに、一人の役者だけがテーマは「恋愛」だと勘違いしていたら、違和感が出てしまいます。


 シナリオ解析を役者がしていなくても問題がなかったということはあるとは思いますが、脚本を一読しただけでは、なかなか気が付かないこともたくさんあります。私なんかは、まだまだ読み取れていないことの方が多いくらいです。



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【座付き作家からのコメント】


 演出家のイメージをより深く理解するため、さらには演技プランについて演出家と効率良く話し合えるようにするために小松Pはシナリオ解析に挑むわけですね。なるほど、よくわかりました。準備できることはすべてやっておく──、小松愛のそういう積極的な姿勢を私も見習いたいと思います。