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理想現実論(1)〜定刻開始の理由〜

※小松式演技論の1回分が抜けてしまっていましたのでアップいたします。


小劇場において「開演時間が押す、遅れる」ことは、もはや常識と言っても過言ではありません。
遅れてくるお客様を5分から10分程度待って、それから開演する形です。
それを、ある種の“ファンサービス”と考えいる劇団も少なくないのでしょう。

しかし、理想現実では『定刻開始』をユニットの基本原則としています。
開演時間となったら、遅滞なく開演することを心がけています。その理由を簡単に述べておきます。

開演を遅らせることは、確かに遅れてきた方々にとってはサービスになるのかもしれませんが、座席で待たされている人からすれば迷惑な話です。
少なくとも、私が客であれば、チラシに明記されている時刻に始まって欲しいと思います。

たとえば観劇後に予定のあるお客様は開演が遅れることで、最後まで観られなくなることだってありうります。
時間通りに来ている人たちが、遅れてきた人のために損をする構図は、個人的に納得がいきません。

遅れてきた人からの「もう始めちゃったんですか?10分くらい待ってくれてもいいじゃないですか」という苦情と、
ずっと待ってくださっていたお客様から届く「なえ開演時刻に始まらないのですか?」という苦情−−−、
そのどちらに対して論理的な謝罪ができるかを考えれば、自ずと答えは出ると思います。

こういう助言もあるでしょう。
「遅れてきた観客が観劇途中で入場してくると、かえって他のお客様の集中力を途切れさせてしまう。それならば少々開演を遅らせてでも、すべての観客を座席に通してからお芝居を始めた方がいい」−−−。

しかし、この主張にも私は賛成できません。5分10分開演を遅らせたところで、その後に入ってくる観客がいることも考慮すれば、上記の主張は際限が無くなってしまいます。

実際、そのように考えて10分以上開演を遅らせる劇団もあったりしますが、客席で待たされている方には、たまったものではありません。

時間通りに来てくださっているお客様を大切にするということは、「途中入場によって集中力が……」云々よりも、明記された時間通りに物語りを始めることにあると私は考えていますし、それが主催者側の責任でもあります。


また、実務的な側面から、“客席問題”についても、ひとつ言っておきたい。
うちはまだ観客動員力が弱いので、その手の現象は起きようもありませんが、人気劇団の中には、通路にまで座席を作って座らせて−−−という客席作りを実践しているところもあります。

このやり方に、私は異を唱えたいと思っています。
なぜなら、そこまで座席を埋められてしまうと、途中退場したくても、出るに出られなくなってしまうし、災害時の非難活動という観点からも危険です。

そもそも、芝居が嫌いなものであれば、途中で帰る権利を観客は持っています。
それなのに、帰るべき通路がないのは問題だと思います。