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著作権へのリスペクト(5)〜動画配信サイトの違和感〜

演劇からは少々離れてしまうかもしれませんが、個人的に気になっていることなので、率直な意見を書かせてい頂きます。


最近、インターネット上では、「観られないテレビ番組、観られない映画はないのではないか?」と言われるくらいに、既存の映像作品が様々な動画配信サイトに流出しています。

私はこの事態に対しても、非常に強い憂いを抱いています。

もちろんクリエイターの中には、「著作権など気にしないし、自分の作品が流出しても構わない。むしろ宣伝になる」と公言されている方もいるでしょう。しかし、そういう個別具体的な事例があったとしても、著作権の無断使用が犯罪であるという価値判断は変わりません。

それに私自身の感覚でいえば、自分の関わった作品を、許可もなく誰かが勝手に配信してしまうことには怒りしか覚えません。言語道断ですし、普通の状態とは思えません。


以前、既存の映画を無許可で配信している動画サイトの代表者が、「ユーザーの皆様に楽しんでもらいたい」的な発言をしているのを何かで読んだ記憶がありますが、もし本当にそう思うのであれば、ご自分で映画館を買って、ユーザーの皆さんを無料で招待されたらいかがでしょうか?
「なにを小松は、子供染みたことを言って……」とお叱りを受けそうですが、著作者人格権云々は別にするとしても、創作者側はそれを発表するシチュエーションも同時に想定しながら表現の取捨選択をしているわけで、(映画であれば、映画館かDVD、もしくは正式な手続きを踏んだ上でのネット配信)、その点を無視した形で作品を世の中に無断で公開することは、あまりにも礼節を欠く行為です。
「観たい人が、都合よく便利に観られた方がいい」という主張もあるのでしょうけど、それは消費者の傲慢というか、許容範囲を超えた“わがまま”だと私は考えます。


極論に聴こえるかもしれませんが、著作権違反に関わることを認識していながら、そのような動画配信サイトを利用している消費者も、犯罪の片棒を担いでいることになるのではないでしょうか?
スーパーから盗まれた魚だと知っているのに、無料だからといってそれを食卓に並べ続けている一部のユーザーを、『善意の第三者』と呼ぶことはできないでしょう。


そもそも創作者側の権利が守られなくなれば、この先、どんどんとクリエイターが活躍しにくい、生まれにくい環境が加速するでしょうし、大仰なことを言えば、“表現文化”の衰退にさえ繋がる気がします。

無法地帯が個性のように言われるインターネット社会ですが、(私を含む)消費者全体の著作権リテラシーを向上させていくことで、「昨日公開された映画が、今日には無断流出している」という現状に歯止めをかけていきたいと思います。

基本的人権と同じく、著作権などの“職業的な権利”もきちんと守られる社会に日本が成熟していくことを切に望みます。